設計案大公開①〜コンセプト編〜
どーも、しも夫です。
先日、やっとこさ設計が完了したので…
コンセプトと設計案を公開しちゃいます!!
建設地は地方都市の住宅地に位置している。
前面道路は勾配があるため、敷地との間に高さ2mを超える擁壁が設けられている。
その擁壁により、敷地のアクセスは私道のみとなっているため、周辺は住宅の開発に取り残されたかのように広い畑がある。
また、前面道路の反対側は崖になっているため、敷地の南側は開けており、「住宅地の空白」のようなスペースとなっている。
この敷地を見た時に、この場所の特徴である「擁壁」と「畑との共生」、「南への開放性」を活かした住宅が出来ないかと考えた。
・地階 〜「誘いの壁」のある家〜
まず、既存の擁壁を活かしつつ、新たに擁壁を再構成し、敷地側へ取り込む事で入り口へ「誘う壁」としてしつらえた。
そのまま擁壁が取り込まれるようにコンクリート打ち放しで作られた地下階はホールと水廻りのみで構成されている。
250mmのコンクリート躯体で覆われた防音性に優れたホールは、施主の趣味である艶のある黒いグランドピアノを配置され、来客を迎え入れるオブジェとしても象徴的に目を惹くものとしている。
・一階 〜「2つの顔」のある家〜
1階は擁壁の上の道路から一段上がった庭を囲むようにL字に配置されている。
そのL字型の住宅の立面は周辺の環境に応じて「2つの顔」を作っている。
1つ目の顔は「和む顔」である。
庭を囲む面の外装は焼杉貼りと深い軒を設ける事で、背景の畑に馴染む、ひっそりと建つ平家建てのような表情としている。リビングの窓からは焼杉の外壁と庭越しに南側に開けた開放的な風景が広がる。
2つ目の顔は「護る顔」である。
畑に面した西、北面の外装材は耐候性や防汚性の高い、屋根からつながるガルバリウム鋼板とし、冬の季節風や農作業による土ほこりなどの周辺環境から守る作りとしている。
また、畑への日光や風景を阻害しないようにシンプルな緩勾配屋根としてボリュームを抑えている。
・外構 〜「2つの地盤面」のある家〜
敷地の形状を活かし、地盤面は地階と一階の2つ設けた。
2つの高さの異なる地盤面を設け、その特徴を変えることで周辺との関係性に変化をつけている。
地階の地盤面は、道路レベルにある「誘う壁」と敷地の南西角にウェルカムツリーなどを植え、人々を迎え入れやすいしつらえにすることにより、彩のある「セミパブリック」空間とした。
一階の地盤面は、道路からの目線より高い2m程度の現況地盤に設けることで、緩やかに周辺と区切られた「セミプライベート」空間とした。
これにより、地階ホールをピアノ教室や集会で利用したり、一階リビングがレースカーテン不要で生活ができたり、わずかな変化が起こることを図っている。